阿陀比賣神社(奈良県五條市原町)は吉野川 のほとりに鎮座する延喜式内社。カーナビでは 行き着かず、配達中の郵便屋さんに聞き山道を戻る。 迷うと山道…。つまり渓谷と山の境目に座している。 吉野川が大きく南に蛇行するあたりの右岸だ。 社務所はない。拝殿の格子から拝観、参拝した。 祭神は、木花咲耶比賣命、火須勢理命(富之須佐利)、 火明命、彦火火出見命、の4柱。春日造りの本殿は 江戸初期の建築。五條市重要文化財指定1号という。 境内社は八坂神社で素戔嗚命(牛頭天王)を祀る。 ![]() 宇智郡の中心だった宇智神社(現・五條市今井)と 同じ郡内であるこの古代の阿陀郷に鎮座。関係氏族 は阿田隼人・大隅隼人、二見首。まさに隼人の里か。 あの日、午後になって訪れた公的施設で目にした 『五條の歴史と文化(五條文化博物館の常設展図録)』 に、「阿太の記紀神話と隼人」の記事があった。 ![]() 記事から、この地に神武らが立ち寄った伝承が知れる。 (以下要約) ☆ここは記紀神話と縁が深く、後の神武天皇は熊野 から山を超えて大和に向かう途中、吉野川の下流で 鵜飼の祖・贄持之子(ニエモツノコ/古事記)と会う。 ☆この阿陀の鵜飼とは、南九州から移住してきた 火闌降命(ほのすせりのみこと、海幸)を祖とする 阿多隼人。阿陀比売神社は海幸兄弟とその母を祀る。 ☆近内古墳など郡内の古墳では魚具が出土しており、 宇智の人々と漁労との深い関わりを示唆している。 神武が川で使用したという天磐舟(磐座)をはじめ、 見過ごせない(見過ごしてしまったが)史跡が多い。 ![]() 神社の東にある「姫火懸の森(シメシカケノ森)」 とは、〜木花咲耶姫が御子を生むときに部屋に 火を放った故事の伝承地〜(神社由緒)だという。 ![]() 海幸彦、鵜飼、漁具、南九州、素戔嗚命…。 吉野川は境内からは見えないので、やはり山の中としか 感じられないこの地に、海の民の痕跡があるとは。 ![]() 通りから少し上がった場所の鳥居は目立たない。 しかし、祖神を祀る人の絶えない歴史を物語る。 ![]() ふと、木花咲耶姫の出産にまつわる伝承を思う。 姫は、安産を願って産屋の屋根を鵜萱で葺いた。 その信仰は、古来、琉球でも長く続いたと伝わる。 「鵜萱を葺いたというのは、どの一族の伝統でした?」 語り部に電話で訊ねると、意外なな答えが返ってきた。 「だから…ウガヤフキアエズ王朝の一族ですね」 それは隼人族を指すのか…? しばし、呆然とした。
by utoutou
| 2021-11-11 19:10
| 天孫氏
|
Trackback
|
Comments(0)
|
![]() by utoutou
カテゴリ
全体 ミントングスク 久高島 イザイホー 玉城 語り部 城(ぐすく) 天孫氏 御嶽 スサノオ 出雲 神社 琉球の神々 伊勢 洞穴(ガマ) 龍蛇神 ヤマトタケル お知らせ 天女伝説 斎場御嶽 ナーワンダーグスク 石垣島 九頭龍 瀬織津姫 琉球の玉 舜天 琉球王 グスク・御嶽 未分類 最新の記事
以前の記事
2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 more... 画像一覧
最新のコメント
最新のトラックバック
検索
記事ランキング
ブログパーツ
フォロー中のブログ
ブログジャンル
外部リンク
ファン
|
ファン申請 |
||