琉球には家の祖神の仮面を祀る習俗があった。 琉球から去った父を慕って泣く舜天(尊敦)を 慰めるため、側近が作り屋敷の柱に掲げたという 為朝の「仮面伝説」は、後年、舜天の子孫が 安里八幡宮に神体として移したところ、薩摩の 僧が持ち去ってしまったという結末になっている。 失われた仮面が、安里八幡宮に祀られていた理由は、 舜天の子孫が仮面の形相を恐ろしがったからという。 つまり、鬼面のように怖い為朝の仮面は、八幡宮の 創建(1466年)前は家に祀られていたことになるか。 と思いきや、 安里八幡宮は元々、仮面を祀る面殿(ミンドゥン) だったという小島瓔禮琉球大学名誉教授による説が ある。仮面は面殿から社殿に祀り直したのだろうと。 仮面信仰は、安里八幡宮の創祀よりも古いとの考察だ。 実は南九州にも、仮面信仰は古い時代からあった。 霧島神宮(霧島市霧島)で行われるメンドンマワリ とは、霧島神宮の摂社・猿田彦神社の御神体である 神面を、神官が背負って神宮境内を廻る巡行祭という。 先住神の顔を象った仮面は神そのものとする文化だ。 昨年の11月に参った霧島神宮の「一の大鳥居」。 社殿に向かって北東の方向に高千穂峰が聳えている 猿田彦命の神面を祀る猿田彦神社は、↑大鳥居 と逆側に位置する霧島神水峡の先に鎮座している。 その地は、猿田彦命と天鈿女命の屋敷跡とも伝える。 霧島市HPより拝借した猿田彦巡行祭の様子。 3人目の神官が、猿田彦命の神面を背負っている ところで、古代仮面文化の色濃く残る南九州の仮面 を分類すると、何種類かのタイプに分かれるようだ。 主なものは猿田彦命のような天狗系の「鼻高面」で、 鼻高のなかでも、目の飛び出たタイプが「王鼻面」。 それが大型化したのが「弥五郎どん」の仮面となる。 ※『南九州の仮面〜祈りと願いの世界』解説より 仮面の分類で考えるなら、隼人の首長と伝承された 「弥五郎どん」とは猿田彦命と同神ということになる。 霧島面「猿田彦」 ※高見乾司・著『九州の民族仮面』より拝借 「弥五郎面」 同じく『九州の民族仮面』より拝借した 南九州の旅の後、ブログ「甑島の神功皇后」に、 そう言えば、次のようなことを書いていた。 〜歴史は神功を仲哀天皇の妃、応神天皇の母としたが、 一説には、南九州で今も祀られ崇められている 隼人の首長・弥五郎どんは竹内宿禰のこととされ、 朝廷に抗戦した隼人の守護神は神功の妹・桂姫だとも。 さらに久高島の「ウッチ小(グァ)」と関係するなら、 その一族とは、南島と大陸を繋ぎ大海で活躍した隼人? 〜 猿田彦命と、弥五郎どんと、アマミキヨ。 物言わぬ神々の面相が、いま何かを訴えかけてくる。
by utoutou
| 2022-06-12 19:46
| 琉球王
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Comments(1)
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utoutou at 2022-06-15 16:11
> 匿名さん
そうですね。不動明王を大日如来の化身と捉えれば、男神の天照大神であり、ニラウフヌシでありアガリウフヌシであり、龍神でもあると感じました。
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by utoutou カテゴリ
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