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琉球国初代王・舜天〈39〉「穴」に住む神

日向国二ノ宮都萬神社(西都市妻)には、代々の社家
だった日下部氏にまつわる「土中出生伝承」がある。
日下部氏の始祖神は、都萬大明神によって土中から
掘り出された一人ずつの男女だったという縁起だ。
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未踏の聖地・都萬神社↑画像は西都市観光協会より拝借





  都萬神社の祭神は、木花咲耶姫。それで分かるように、
  日向は、天孫降臨の舞台である。でありながら、社家
  ・日下部氏の神観念は、天から降りる神を崇めるのでなく
  「水平的」。「地の底・海の底」の神への信仰を思わせる。
  
「都萬神社のある妻に、井戸を掘らないという伝統
  があるのは、地中が神の本源地とみなされていたから
   だろう」と、西都原古墳研究の第一人者・日高正晴氏は、
  その著書『西都原古代文化を探る』で述べている。
  
 
ところで、
その「土中からの始祖」神話は、東南アジアや、
ニューギニアなどのオセアニア、台湾、琉球南部の
 島々に見られるという。韓国では済州島だけに伝わる。
 日向の海人族・日下部氏ならではの海洋性を感じる。
  
民俗学では、沖縄の本島周辺に土中始祖伝承はない
 と、されているらしい。先島諸島以外の琉球諸島は
オセアニア〜韓国・済州島に分布する伝承の「空白
地帯」というわけだが、実は「アマミキヨの居住地」
 という本島南部のミントングスクにも洞穴伝承はある。


  「御先の時代、↓ミントングスクの奥にガマがあった」
  と、かつて語り部からは何度か聞いたことがある。
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  前回書いた「生きていても家、死んでからも家」という
  ガマに対する表現は、ミントングスクにも当てはまる。
  すると、「アマミキヨは、あっちから来た人」という
  伝えには、本来いた始祖の土中出生伝承が隠されている?

  いっぽう、
 久高島の始祖と伝わるアナゴノシー・アナゴノファー
 については などに書いていた。文字通り、穴に住む
   男女一対神で、ヤマト神話では天穂日命とされたらしい。

  琉球で、古来、女性を火(ほー)、男性を火(ひー)
  と呼んだのが語源となったのだろうと、語り部は言う。

その久高島の始祖、アナゴノシー・アナゴノファーと
  いう神名の「穴」とは、「てぃだが穴」だと考えている。
 地底にあると信じられた太陽の通り道を、そして朝には
  東の空の若てぃだ(ソントン)となる太陽神を、守護した。

  久高島と日下部氏の始祖は、まさに「地底」で通じている。
  そして、さらには韓国・済州島とも通じているようだ…。


  アナゴノシー・アナゴノファーのガマがあるアグルラキ。
 島の南部まで通じていたという穴(龍宮)の入口がある
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by utoutou | 2022-09-04 18:01 | 琉球王 | Trackback | Comments(0)
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