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琉球国初代王・舜天〈40〉久高島の八月祭り

 台風一過。数日ぶりに運航した船で久高島へ渡った。

 羽田からの道中、吉成直樹・著『琉球民俗の底流
 を読む。冒頭から、琉球に「底流する民俗」には
「ニライカナイは土の中」という信仰があったと述べ、
 先島諸島などの儀礼を次々と紹介して紐解いていく。

八重山諸島の「アカマタ・クロマタ」や、本島の
「安田のシヌグ」など、来訪神が「穴」から出現
する「男の祭り」は、確かに吉成教授が記すように、
15世紀に琉球王朝の神女組織によって整えられた
「ニライカナイは海の上」的な信仰とは一線を画す。

山や地の「穴」から神々が出現する祭りのかたちは、
日下部氏の始祖の「土中出生伝承」に近いと感じる。


さて、久高島。
ちょうど八月マティの3日目、最終の船で着くと、久高殿
(御殿庭)では、女性たちのグゥルイが行われていた。
 グゥルイとは臼太鼓(ウスデーク)に合わせて歌う円舞。
 周りでは、島の人たちや見学者たちが談笑している。
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※八月マティの行事解説は、久高島サイトにある






そして、旅の目玉は、八月マティ4日目
(新暦9月7日)のテーラーガーミ(太陽神の祭り)。
この「男の祭り」に「ニライカナイは土の中」信仰
は隠れているか? …と、まだ誰もいない祭場を散策。
 祭場のハンチャアタイ(神の畑)は島の中心地にある。
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写真手前右は、天の門(てぃんぬじょう)という拝所。
祭りはこの「天と地をつなぐ石」に赤碗・黒椀を供えて
始まる。つい、これを人工的な「穴」?と妄想したりする。
奥に見える祭りの旗は、「黄色に日の丸」と「紅白」。
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数年前、テーラーガーミのブログに書いたが、
祭りのハイライトは、太陽神の霊威を受けた大主たち
が、集落をお祓いして歩く部分だが、残念ながら
 参加は3名(白衣は神人)で、見学者数を下回った。
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この祭りに、韓国・済州島(古代の耽羅国)との
民俗的な共通点は、果たしてあるのだろうか? と、
羽田〜那覇の道中、機内モニターで地図を見ていた。
民俗はオセアニアから黒潮の道で伝播したのだろうか?

済州島(赤丸加工)のすぐ南東に五島列島がある。
『肥前国風土記』は「五島の海士は容貌が隼人に似て、
常に騎射を好み」と記していた。もしや済州島も…?
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テーラーガーミは、ハンチャアタイ→アカララキを
 廻って久高殿で終了。大主たちは東方に拝礼した。
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1時間の間を置いて、最終イベントは「角力大会」。
ユラウマヌ浜で初めてそれを見た私は、アッと驚く。
韓国相撲・シルムと同じスタイルの競技だった。




by utoutou | 2022-09-08 13:08 | 琉球王 | Trackback | Comments(1)
Commented by utoutou at 2022-09-10 13:10
> 匿名さん
八月マティを司祭しているのは外間家のようです。ただ大里家はチチヤ大主(月の大神)を司る古元家ですから、今日(旧暦8月15日)の十五夜には大いに関係があると思います。
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