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辺戸岬の御嶽廻り〈6〉光の御嶽

辺戸岬灯台の近くにある「火の神」の御嶽。
2億5千年前、辺戸岳周辺は海底の山だったという。
樹々に切り取られた空を見上げる。ふと光が注ぐ。
キラリ舞い降りる光が不思議と龍神の舞を思わせる
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この写真は前回の再掲だが、沖縄本島最北の御嶽
にまつわる伝承は、初めて聞く宇宙的な規模だった
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「↓ふたつの石(写真上部)には、意味があります」
奥の御嶽で合掌した語り部は、振り向かず言った。
「シリウスは連星でAとBの星があり、その光が
  それぞれふたつの御嶽石に注がれると言われています」

そうですかと、合掌…。
いつの時代かに、そうした神託を受けた神人の言葉
を引き継ぐように、人々は祈りを捧げてきたのか
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語り部は、三角形を
象るように点在する御嶽の全体を指差して言った。

「右の一角にある御嶽には、りゅう座からの光が注ぎ…」
振り向いて語り部が続ける。「…さらに、もうひとつ
の御嶽には、ベガからの光が注いでいると言われます」

私はちょっと混乱して、忘れないよう繰り返した。
「シリウス、りゅう座、ベガ、ですね…?」
「移り変わる北極星を、ここで祀っていたのでしょう」
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「子の方(ニヌファ、北)から注がれた光…の御嶽」
「はい、光という字を、書いてみると分かります。
中央に1本、左右に1本、超古代から今まで、北極星
と呼ばれた星からの光です。次の横1本は、地球。
 光はこの地に集まり、地球の中へと八方に広がった」

 それが、光という字の根源的な意味なのだという。
またその神託にはスペクタルで神聖な続きがあった。

「地球のと中へ左右に分かれて広がった光は、
 そのまま孤を描いて空に舞うと、また地平に戻ってくる。
四方・八方・十六方と、菊の花のように広がった二弧の
 光が戻ってきたとき、十六と十六の光がひとつに重なる。
十六葉の菊がふたつ重なり合う、菊の御紋の原型です。

 三十二の光と、ひとつの要。それが火の神のはじまり。
 すべての光をくくり司る女神を、ヤマトでは菊理姫、
 または弁財天、琉球では聞得大君と呼びましたが、
    星の信仰は王朝時代にはもう失われてしまっていた」   

 この御嶽を、神人たちは「羅針盤」とも呼んだという。










by utoutou | 2023-05-16 16:18 | グスク・御嶽 | Trackback | Comments(1)
Commented by utoutou at 2023-05-21 17:16
> nemeron1445さん
火の神とは、「太陽・月・星」という、語り部さんの話を何度かブログでご紹介しました。このたび辺戸の火の神を訪れたときは、「これが、太陽・月・星を崇める火の神の原型」と聞きましたが、私がその説明を咀嚼しきれず、このような(ブログの)表現になりました。また理解できましたら記したいと思います。消えてしまった「史」は残っていないかもしれません。
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