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黒潮の民〈7〉ハーリー(競漕)とハベル(蝶)

海神祭・奥武島ハーリー(爬竜船競漕)の船は、
出雲の諸手船(もろたぶね)に大変よく似ている。

そのサバニ(丸木舟)は、出雲の美保神社で続く
青柴垣神事に登場。男たちが船乗り事代主神の国譲り
神話を伝えるが、絵馬に見る櫂を持つ表情も瓜ふたつ
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こちら、
旧暦の5月4日(新暦6月21日)、4年ぶりに行われた
奥武島ハーリー大会。残念ながら午前中の東西対抗
の「流れ船」は間に合わなかったが、職域対抗を拝見
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出雲への旅をふと思い出させた、奥武島ハーリー。
そう言えばと、あの10年前の出来事がいくつか甦る。

美保神社に参ったときに、偶然にも境内の船倉に保管
してあった糸満海人のサバニを、見せていただいた
(※過去ログは「美保神社」に)

↓同じブログからの再掲写真。左が糸満のサバニ。
戦前、出雲の海域で追い込み漁をしていた糸満海人が
置いていったという。現在は島根県有形文化財に指定
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龍神信仰はじめ、出雲と沖縄の縁には深いものがある。
やはり青柴垣神事で祭具として用いられる「蝶形の扇」
は、沖縄蒲葵(クバ)を模したものだという説もある
※写真は、「神々のふるさと山陰」から拝借
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つまり、亜熱帯地域で龍蛇神見立てられたクバが
出雲の神話では、その化身として蝶形の扇になった。
沖縄の島々と出雲を結ぶ海路は想像以上に密なようだ。

沖縄でも蝶は神の化身・神霊。「ハベル」と呼ばれた。
兄を守護する「おなり神」の霊力の象徴として信じられ、
奄美や沖縄本島北部では、ノロが「玉ハベル」を着けた。

首飾りを胸に、ビーズを織り込んだ帯を背中に垂らす。
いちばん下に飾られた三角布が、「蝶」を表すという。
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ところで、神の島・久高島では最北のカベールムイを
「ハビャーン」と呼ぶ。ハベル(蝶)の久高島方言。
重要な祭祀場でもあるが、なぜ「蝶」なのだろうか?

 

by utoutou | 2023-07-10 17:43 | グスク・御嶽 | Trackback | Comments(1)
Commented by utoutou at 2023-07-11 20:24
> 匿名さん
こんばんは。ハベル→ハーベールー、もあるのですね、ありがとうございます。蝶化身を再現する習俗はユーラシア大陸にかなり広範にあるようですね。玉ハベル、本当に気になります。
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