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黒潮の民〈9〉消えた「草薙の剣」

津堅島の祭り・マータンコーについての情報に
 接したのは、あの奥武島ハーリーの日のことだ。
 奥武島橋のたもとで、偶然、友人に呼び止められた。

 なんでも、マータンコーの祭りを代々司祭していた
 旧家の末裔の方が健在らしい…ということである。

思えば、津堅島に渡り、マータンコーの祭り
を見たのは8年前の冬。クリスマスの頃だった。
本島中部の平敷屋港から高速船に乗って30分ほど。

「スサノオと八岐大蛇の神話によく似たお祭りが
津堅島には残っている」と、語り部に聞いたからだ。

マータンコーは7つの首を持つという、伝説の大蛇。
その季節になると、海から来ては7人の娘を生贄にした。
そこで島の人たちは、退治するための一計を案じた。
酒を入れた7つの樽に、木に立たせた娘の顔を映し出す。
作戦は成功。酔い潰れたマータンコーは切り刻まれた。
  
「大蛇の尾からは剣が出たと、八岐大蛇の〝草薙の剣〟
と似た結末も伝わっていました」とも語り部に聞いた
が、私が見たお祭りからは、その要素は消えていた。

さて、先日、奥武島で会った友人の話をまとめると、
津堅島で祭りを司祭したという旧家ならではの、
マータンコーの由来を巡るポイントがいくつかある。

☆いまも旧暦11月14日に行われるマータンコーと、
(いまは途絶えたが、12年に一度の)旧暦11月15日
  から行われた久高島のイザイホーは一連の祭りだった。

☆ふたつの祭のうち、王府時代に神の島とされた久高島
  のイザイホーだけが、名だたる秘祭として存続した。

☆その旧家では、マータンコーは「草薙の剣の祭り」
だと、明治の時代まで一子相伝していたという。

以上3点は、語り部から聞いた話とも一致している。

いっぽう、3つ目のポイント「草薙の剣」にまつわる
  話は、島レベルでは伝承されなかった秘話なのだろう。

その口伝が事実なら、「三種の神器」の定義を
  揺るがしかねない沖縄の、いや日本の古史の一大事。
もちろん現在のキャロット・アイランドこと津堅島
  もまた、久高島と同様に、神の島だったことになる。


沖縄本島東海岸の御嶽・テダ御川近くから遠望する、
平らな久高島(右=南)と起伏ある津堅島(左=北)。
約12㎞離れて太平洋上に浮かぶ二つの島が、古来
冬至の季節に行われた祭りを共有していたとは…
黒潮の民〈9〉消えた「草薙の剣」_a0300530_11535806.jpg







久高島で見た案内図。右下の図で津堅島と久高島の
位置が分かる。過去ログ「久高島の渦巻き」に書いた
が、久高島最北のカベール の岬の北方で海底神殿跡
 のような何かを見たというダイバーや海人は少なくない。
語り部はそれを龍宮と呼ぶが、いつの時代のことなのか
黒潮の民〈9〉消えた「草薙の剣」_a0300530_11583488.jpg







津堅島のマータンコーは、島の中心地が主祭場。
酒甕を祀る御嶽で拝礼してから、扮装や化粧をした
男たちが騎手を先頭に列を成し、銅鑼や酒樽を抱えて
練り歩く。棒術や三線の合奏も続き、魔物退治や冬至
(正月)を祝う島をあげての慶び事に見えたのだったが、
イザイホーと繋がる祭りとは、このとき判らなかった。
黒潮の民〈9〉消えた「草薙の剣」_a0300530_12425424.jpg


by utoutou | 2023-07-26 15:24 | グスク・御嶽 | Trackback | Comments(2)
Commented by utoutou at 2023-07-28 19:26
> 匿名さん
ありがとうございます。
教えていただいたサイトに飛びました。

(男)津堅とぅ久高とぅ船橋掛きてぃ津堅ぬ美童わたしぶしゃん
つぃきんとぅくだかとぅふなばしかきてぃ つぃきんぬみやらびわたしぶしゃん
thikiN tu kudaka tu hunabashi kakiti thikiN nu miyarabi watashi busaN
〇津堅(島)と久高(島と)に船橋掛けて津堅(島)の美しい娘を渡してみたいものだ
語句・ふなばしhunabashi 船をつないで橋としたもの。

想像が膨らみますね。
曲も聴いてみたいと思います🙇‍♂️感謝です🙏
Commented by utoutou at 2023-07-30 14:55
> 匿名さん
こんにちは。「くだたるやーちきん、ちきたるやーくだか」とか「うちゃがて見ゆる(浮き上がって見えるor見上げるように窺う )、ちきんくだか」など、語り部さんからは、津堅島と久高島の一体性を示すような昔ながらの表現を聞いていたのですが、最近、本当にあるときパッと島の間に繋がる陸地が見えた気がしました。ここまで10年かかりましたが…🤣
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