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卑弥弓呼〈 6 〉熊襲の王、降臨

熊襲の王は、女装して乱入したヤマトタケル(小碓命)
に刀で一突きされ絶命する刹那、その無敵さを褒め
称えて、自らの名を差し出したことになっている。
しかし、一国の王としては残念すぎる死に様ではないか?

そんな感想を呟くと、
語り部の前(脳)に現れた王は言い放ったという。
「何バカなことを言っている。私は殺されたわけではない」

威厳はあるが、恐怖感は感じない。
ただ、歴史上の人物が舞い降りたらしいことに驚き、
私はなんだかボー然と語り部の横顔を覗き込んだ。


ときは午後4時半ごろ。穏やかなティータイム。
那覇市にあるホテルのラウンジで、話をしていた。
いつもは向かい合うが、この日は二人の友人も同席
 していたので、語り部の右横に座ることになった。
 私は「いま」の空間を見ていたが、語り部は違った
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語り部の口を借りて話す熊襲の王に聞いた。
「殺されたのでなければ、どうなったのですか?」

その答えに、もはや怒りのような響きはない。
「殺されたのではなく、私はこの国を譲ったのだ。
 相応の理由があって、王号のタケルを譲り渡した」

それが、小碓命がヤマトタケルになった由来だったとは。
続けて聞く。
「王号を譲り渡した理由はなんですか?」
  
語り部(王)が、目を閉じたまま答える。
「私は、小碓命にいくつかの質問をした。
   その難問に答えることができたので、王権を委譲することにした」

難問とは何か…については聞き出せなかった。
というか、急な話の展開についていけなかった。
非戦の民だったのか、熊襲は。私は軽く合掌した。

語り部は、今度は目を開けて王の様子を伝える。
「 国見岳という山を背にして立っています。
立派な体格で白い着物を着て、頭には金の渦巻きが
  幾筋も垂れ下がった逆さ冠のようなものを被っている」

「 で、顔は濃いですか?」
 「 濃いです、体格もいい。ヤマトタケルに似ている」 

咄嗟に三峯神社の境内に立つヤマトタケルを思った。
過去ログ「武甲山と龍脈」に投稿した、あの姿だ
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その三峯神社に参拝したのは、8年前のことだった
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それにしても、ヤマトタケルが熊襲の王を従わせること
ができた難問への答えは何だったのか。
その王はまたの名を「日高・日高見(ひたかみ)の王」と名乗った。











by utoutou | 2023-09-09 21:07 | Trackback | Comments(0)
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