熊襲の王は、女装して乱入したヤマトタケル(小碓命) に刀で一突きされ絶命する刹那、その無敵さを褒め 称えて、自らの名を差し出したことになっている。 しかし、一国の王としては残念すぎる死に様ではないか? そんな感想を呟くと、 語り部の前(脳)に現れた王は言い放ったという。 「何バカなことを言っている。私は殺されたわけではない」 威厳はあるが、恐怖感は感じない。 ただ、歴史上の人物が舞い降りたらしいことに驚き、 私はなんだかボー然と語り部の横顔を覗き込んだ。 ときは午後4時半ごろ。穏やかなティータイム。 那覇市にあるホテルのラウンジで、話をしていた。 いつもは向かい合うが、この日は二人の友人も同席 していたので、語り部の右横に座ることになった。 私は「いま」の空間を見ていたが、語り部は違った ![]() 語り部の口を借りて話す熊襲の王に聞いた。 「殺されたのでなければ、どうなったのですか?」 その答えに、もはや怒りのような響きはない。 「殺されたのではなく、私はこの国を譲ったのだ。 相応の理由があって、王号のタケルを譲り渡した」 それが、小碓命がヤマトタケルになった由来だったとは。 続けて聞く。 「王号を譲り渡した理由はなんですか?」 語り部(王)が、目を閉じたまま答える。 「私は、小碓命にいくつかの質問をした。 その難問に答えることができたので、王権を委譲することにした」 難問とは何か…については聞き出せなかった。 というか、急な話の展開についていけなかった。 非戦の民だったのか、熊襲は。私は軽く合掌した。 語り部は、今度は目を開けて王の様子を伝える。 「 国見岳という山を背にして立っています。 立派な体格で白い着物を着て、頭には金の渦巻きが 幾筋も垂れ下がった逆さ冠のようなものを被っている」 「 で、顔は濃いですか?」 「 濃いです、体格もいい。ヤマトタケルに似ている」 咄嗟に三峯神社の境内に立つヤマトタケルを思った。 過去ログ「武甲山と龍脈」に投稿した、あの姿だ ![]() その三峯神社に参拝したのは、8年前のことだった ![]() それにしても、ヤマトタケルが熊襲の王を従わせること ができた難問への答えは何だったのか。 その王はまたの名を「日高・日高見(ひたかみ)の王」と名乗った。
by utoutou
| 2023-09-09 21:07
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