その伝承も、そう言えば、何度か聞いたことがある。 「(那覇の)天久(あめく)には、卑弥呼の末裔の一族 が本土から里帰りして住んでいた。代々伝わった巻物も あったが、今次の戦争で分からなくなったらしい」と。 過去ログ「天久宮はアマミキヨ宮」にも書いたが、 民間伝承をまとめた『琉球祖先宝鑑』によれば、 天久(現住所は泊)の村にはアマミキヨ三世がいた。 一世の志礼仁久と安摩美姑には、13人の子がいた。 二世の天美人加那と巣出美人加那志には、 10名の子がいた。 三世の天太子大神加那志と竜宮女大神加那志には、 20人の子がいた。 ということは、ここ天久村にいた 三世の天太子大神加那志と竜宮女大神加那志の 一対神が卑弥弓呼と卑弥呼だった可能性は大いにある。 いやいや、『魏志倭人伝』の卑弥呼と卑弥弓呼は 「素より和せず」の敵対関係。一対神のはずはないが。 とはいえ「里帰りした卑弥呼の一族」という伝承は、 語り部の「狗奴国・那覇説」とリンクして興味深い。 なぜなら、語り部は、卑弥呼と卑弥弓呼は、元々は ウミキ(男王)・ウミナイ(その妹の日巫女)の関係 だと考えている。不仲なのは訳あってのことだろうと。 それにしても、天久の地名を『魏志倭人伝』に関連した 話題で聞くことになろうとは、まさかの展開である。 琉球八社のひとつである天久宮(あめくぐう)には、 境内に泊龍宮神などの古来の御嶽がいくつかあるが、 神社創祀由緒にある王府の守護神・弁財天の宮もある ![]() 首里城の西のアザナ(物見台)からの天久宮方面。 中央左側↓に写る新都心ツインタワーの海側にあたる ![]() ところで、話は他でもない卑弥弓呼のことに戻るが… 仮に卑弥呼がアマミキヨ神で、卑弥弓呼がその一対神 とするなら、ある神名を思い起こさずにはいられない。 アマミキヨ直系ミントン家の伝承にはこうあるのだ。 「アマミキヨの夫は、ソネ彦と呼ばれた」と。 表記は「曽根彦」か「襲根彦」か。いずれにしろ、 「曽」「襲」の根の日子。「根」には本家の意味がある。 また「ソ」とは『肥前風土記』などに記されるように、 景行天皇が熊襲を征討した球磨贈於(くまそ)の意味。 「語り部の前に現れた」「日高見の王」の背景には、 阿蘇山が、またその手前には国見岳が視えたという。 その立地は熊本県の球磨川沿い、人吉盆地あたりか…。 狗奴国とアマミキヨがどうも繋がってくる気配がする。 そもそも、 卑弥弓呼というこのシリーズが始まった経緯は、 語り部が、「卑弥弓呼はホノスセリの子孫では?」 と言ったことからだったが、そのホノスセリはご存じ、 木花咲耶姫が天孫・邇邇芸尊との間に生んだ三皇子の 第一子にあたる(※『日本書紀』)。三皇子の順番は 諸説あるが、『古事記』には兄・火須勢理命とある。 ただし、海幸山幸物語の聖地・鹿児島神宮の縁起では、 兄(海幸彦)は火照命で「隼人の祖」、弟(山幸彦)は 日子穂穂出見命となっており、ホノスセリは登場しない。 ※↓フリップは霧島市の隼人塚史跡館の掲示を撮影 ![]() 語り部は言う。 「三兄弟に関して諸説あるということからしても、 ホノスセリが神話から消された可能性はあると思います」 ホノスセリ→卑弥弓呼→熊襲→日高見の王。そして、 日高見の王が国の未来を託した、皇子・ヤマトタケル。 その系譜は、龍神・海神を神祖とする古代天孫氏王朝に 遡るのではと、おのずと紐解けてきそうだが、さて…?
by utoutou
| 2023-09-28 21:38
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Comments(2)
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いつも拝見してます。
youtubeより、卑弥弓呼→上代東国語で「日本子(ひもとこ)」だそうです。 https://youtu.be/ysz7RjReCOI?t=30 言語学には詳しいわけでなく、つまみ食い的な知識で恐縮ですが… まさに日高見の王のことかと思い、コメントさせていただきます。 また、この方の解釈だと卑弥呼→姫子ですが、ウミナイであることは間違いないようです。 https://youtu.be/0dCEnI-YOMI?t=318
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> J-TAMANORIさん
コメントありがとうございます。言語学からのアプローチなのですね。なるほど…と思ったり、ではその点は我々の考えとどう繋がるのか…とか思うと、見当識みたいなことが揺らいで、逆にちょっと楽しい感じがしました🤗 他にもyoutubeにあがっているテーマがありましたので、もう少し拝聴してみます。感謝です🙇♂️
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