村ガー(川泉)だった坂中樋川へ登る小路は、 県道58号線に平行するように走っている。 葬祭会館のビルなどが並ぶ通り、マンションの角 から入ると、すぐに樋川が着く。雨後ということも あってかとても静か。58号線の喧騒も聞こえない。 崖に埋め込まれように「天龍」の御嶽(写真中央)。 ここは豊富な水量を誇る湧泉であり、古来の海岸線 「マージナルな天久の崖」と新城和博氏がその著 『ぼくの那覇待ち放浪記』で書いた「境界」だ。 自宅に帰り本を開くと、次のような記述があった。 〜陸と海、中心と辺境、現在と過去、いろんな 意味で区切られているこのあたり〜 が天久だ 崖の横から山上に登ると風葬跡があり、一帯 は苧山(うーやま)と呼ばれる苧麻畑だったと 伝わる。宮古上布の素材としてよく知られる苧麻 (からむし)が、自生か栽培かは分からないが、 風葬跡と苧山。まさに「境界の地」なのである と語り部が言うので、ついこの場で質問をする。 「前にも聞きましたけど、乙樽(おとぅだる)は 村いちばんの旧家の娘で、家の敷地だって千坪 もあったというのに、わざわざ風葬の地の洞窟 に籠って機織りしていたというのはなぜですか?」 語り部は「だからですよ」と微笑しながら言う。 「湿気だと思います。機織は乾燥が大敵ですよね。 糸が切れてしまってうまくいかない。しかも…」 「しかも?」「それが飛衣なら、なおさらのこと」 それを、中玉依姫こと大主乙樽は洞窟で織った、 聞得大君のために…と、語り部は言うのだった。 つづく。
by utoutou
| 2024-03-07 09:51
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