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琉球玉依姫〈21〉ハニートラップ

尚円王妃・宇喜也嘉(おぎやか)について、
前回ブログに書いたが、語り部の意見は違った。

「尚円王に先立たれたおぎやかが、心優しい王母
 だったというのは、違うのではないかと思います」

私は、かねがねこう思っていた。
琉球第二王朝の二代王で初代王・尚円の死後、
その弟・尚宣威を半年で退位させたのは、尚円の
正室・おぎやかの謀略だとしても、宣威の一人娘
・居仁(きょじん)を我が子・尚真の妃に迎えた
 のは、母として女としての慈悲深さゆえでは…と。

しかし、語り部は、おぎやか謀略説を曲げない。
「尚円王の死後、周辺では不審な事件が立て続けに
起こったと伝わっています。おぎやかを正室に
 迎える前の尚円金丸には多くの子がいたそうですが、
みな姿を消し、尚真王の正妃となった居仁も追放
され不慮の死を遂げた。他にも物騒な事件があり、
 そのすべてにおぎやかが関わっていると言われます」

 寵愛する尚真の王位安泰のためには手段を選ばず?
「では、尚宣威の娘・居仁を尚真の妃に迎えたのも
 おぎやかの謀略で、人質に取ったというわけですね」

語り部は、間髪入れずに言った。
「そうです。ただ、おぎやかひとりの陰謀ではない
と思います。彼女が、ある集団から差し向けられた
スパイのような存在なら、話の辻褄は合うのです」

なるほど、おぎやかは呪詛を仕掛ける役だったか。
語り部に聞く。「そしてまた…、おぎやかは、
金丸にハニートラッブを仕掛ける役でもあった?」
「おぎやかの陰に、政権奪還を狙う集団が見えます」

確かに、王と妃には親子ほどの年齢差があった。
50歳の金丸と出会ったとき、おぎやかは20歳。
尚円王となり62歳で没したときも、まだ32歳だ。
いっぽう金丸が伊是名島で娶った妻と子に関しては
 詳細不明。名も語られないまま歴史から除外された。


さて、
また沖縄へ行く機会があり、ある遺跡を訪れた。
静かな集落のなかに佇む西原町嘉手苅の内間御殿
(うちまうどぅん)。金丸が地頭だった頃の旧宅跡
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内間御殿の前に広がるコスモス畑とフクギの大木
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内間御殿はフクギ公園の趣、中央に神屋がある。
1454年、琉球第一尚氏の尚泰久が王位に就くと、
金丸はここ内間に領主として居を構え15年住んだ。
その後、尚徳王の側近として首里に移り、おぎやか
と出会う。この内間は先妻と子らの旧跡でもあるか
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 那覇で聞いた、語り部の一言が頭から離れない。

「話は変わりますが、王府時代に流通した鳩目銭は
どこから来たんですか? おぎやかの経歴と関係が
 あるのではないかと思います。その出自は大陸から
 渡来した集団、あるいは倭寇かもしれませんね」






by utoutou | 2024-05-19 20:57 | 最終章 | Trackback | Comments(17)
Commented at 2024-05-20 16:34
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Commented at 2024-05-20 17:03
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Commented by utoutou at 2024-05-21 20:40
> nemeron1445さん
コメントをありがとうございます。
陰謀渦巻く時代だった? おっしゃる通りだったと思います。尚円の妻子が海で殺されたという話ですが、妻子はおぎやかの嫁入りを画策する一派の手によって…となるのでしょうか。とすれば第一王朝の時代、金丸は王の側近であり進貢貿易を管掌していたそうですから、いわゆるその貿易長官の座が一派の狙いだったのかと考えたりします。
Commented by utoutou at 2024-05-21 21:14
> nemeron1445さん
玉陵、園比屋武御嶽石門、円覚寺、天女橋など、尚真王の時代は文化遺産を多く残した富める時代ですよね。やはり、それは日本や東南アジアの国々との交易で得た富に拠るわけで、その富と利権を得るために王家の内紛も起こったのかもしれませんね。その脈絡のなかでなら、尚宣威王の退位や一人娘との婚姻が成り立つかと思いました。
Commented at 2024-05-21 21:45
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Commented at 2024-05-22 22:26
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Commented at 2024-05-23 12:18 x
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Commented by utoutou at 2024-05-23 12:45
> nemeron1445さん
こんにちは。金丸はなぜそのようにモテたのでしょうか? 御後絵だけでは分からないなと、よく思います。
Commented by utoutou at 2024-05-23 13:06
> 紅さん
コメントありがとうございます。金丸自身の出自にもいろいろな説がありますよね。北方から、とか、大和からの流れとか。そして、伊是名島ではお百姓さんだったけれども、浮き名を流したので疎まれて島を出ることになったとか。やがて尚泰久に取り立てられて、最終的に国王に登り詰めた人物にしては、随分とひどい描かれ方だなと思うのですが、ひょっとするとそれも大和流れという説に拠るのかなとも思いました。
Commented at 2024-05-23 14:44
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Commented at 2024-05-23 15:02
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Commented by utoutou at 2024-05-23 15:38
> nemeron1445さん
こちらこそ、ありがとうございます。
Commented at 2024-05-23 15:50 x
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Commented by utoutou at 2024-05-23 16:21
> 紅さん
こんにちは。この章は、舞台を天久だとして始めました。おぎやかが天久ノロに、初代ノロとなった聞得大君の霊的な支えを任せたのかなぜなのか? 例えば、あの銘苅子の伝承に天女が登場する(天女を登場させる)意味がどこにあるのか? 切りたくても切るわけにはいかない、おぎやかと天久ノロの縁があったように思います。
Commented at 2024-05-23 18:58 x
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Commented at 2024-05-23 23:19 x
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Commented at 2024-05-27 13:55 x
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