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琉球玉依姫〈22〉鳩目銭は語る

鳩目銭が気になると言う語り部と、話していた。
2時間ほど「お茶」する間、鳩目銭の話にいちばん
時間を割いたという感じだ。それにしても、なぜ
鳩目銭なんです? とは聞かなかった。神託というか
閃きはいつも突然で、だからこそ、謎解きの意外な
ヒントになる。おそらくそれを解くことができれば、
 おぎやかの背後にいた勢力について、何かが分かる。


リアルに手にしたことはない琉球古銭の鳩目銭。
写真↓は日本銀行貨幣博物館の発行の展示図録
中世 海を越えてきたお金」から画像を拝借。
 鳩の目のような形をした銅製の無文銭のことだ。

琉球玉依姫〈22〉鳩目銭は語る_a0300530_16173166.png




その鳩目銭を束ねた封印銭↓も、日本銀行博物館
中世 海を越えてきたお金」から拝借した。

語り部が視せられた鳩目銭は、第二尚氏王統の
  初期からそう降らない時代に流通したものらしい。


琉球玉依姫〈22〉鳩目銭は語る_a0300530_14544865.png





いっぽう、薩摩の琉球侵攻後に流通した鳩目銭
(通称・当間銭)のほうは、私も何かで読んでいた。
1636年に寛永通宝ができ私鋳銭が禁じられたため、
 廃銭となった薩摩の加治木銭を貰い受けて作った。

いま気になるのは、それより75年前の1561年に、
鳩目銭らしき記録があることだ。琉球を訪れた明の
冊封使・郭汝霖(かくじょりん)は帰国後の報告で、
「貨幣は小さく、文字はなく、10枚で1文」と綴った。
※『郭汝霖/使琉球録』より

そのころ在位していた琉球王は? と確認すると、
尚元王(1556〜1572年)である。郭汝霖は、
鳩目銭を思わせる無文銭を、どこで見たのだろうか?

ちなみに、琉球王の在位年代は次のような順だ。
尚円王の在位は、1469〜1476年
尚真王の在位は、1477〜1527年
尚清王の在位は、1527〜1555年
尚元王の在位は、1556〜1572年

 尚円王代から約百年後、明の冊封使が見たという
「文字のない小さな銭貨」の存在は何を物語るのか?

明という国では、というより前朝の元でも、流通
  したのは紙幣が主で銭貨はほとんどなかったという。
 とすると、郭汝霖が見た「文字のない小さな銭貨」
 は琉球で作られたものか、ヤマトから来たのか…?


 明で思い出すのは、琉球から初の進貢使となった
  察度王の弟・泰期。1372年から5回渡航したとか。
  泰期像は出身地とされる読谷村宇座残波岬公園
 立っている。中国の福建省を指差しているそうだ
琉球玉依姫〈22〉鳩目銭は語る_a0300530_11422341.jpg


by utoutou | 2024-05-26 20:28 | 最終章 | Trackback | Comments(1)
Commented at 2024-05-27 14:10
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