2018年 04月 06日 ( 1 )

六甲山と瀬織津姫 166 天御影命の「影」(改)

 綱敷天満神社(神戸市東灘区)の成り立ちは難しい。
 地名の「御影」が、天御影命を祖神とする一族の存在
を感じさせるが、祭神に天御影命の神名は見えない。

 祭神は菅原道真大神、別雷大神、倉稲魂大神、天穂日命。

ただし、社殿によれば、代々司祭したのは天津彦根命
 の子孫というから、その子とされる天御影命は当てはまる
 が、ではなぜ祀られないのかを考えるとスッキリしない。

また繰り返しになるけれども、神社略記「歴史」には、
 御影の地名の起こりについての以下の一文がある。

〜(ここ摂津国荏原郡)覚美郷(かがみごう)御影の
地名の起こりは、古代この辺りに銅細工に関わる
技術者集団「鏡作部(かがみつくりべ)がいたと推測
されることに由来します。社宝の古い神体には、銅塊
が祀られていた。〜 

鏡作部の祖神は、天照大神の天の岩戸伝説に登場する
八咫鏡を造った石凝姥神(いしこりどめ)だが、
 銅鏡と天御影命の関係もまた、浅からぬものがある。

御之御影神を主祭神に祀る御上神社(滋賀県野洲三上)
の鎮座する三上山付近からは、銅鐸や銅鏡などの出土
品が多く、鍛治の一族か集団がいたと考えられている。
六甲山麓・桜ヶ丘から銅鐸が出た御影と似た歴史がある。


いっぽう、まさに「御影の森」という地名が、
綱敷天神神社から3.5㎞ほど西にあり、こちらこそは
天御影命に所縁があるのではないかとされる神社がある。

五毛天神・河内國魂神社(神戸市灘区国玉通り)だ。
阪急王子公園駅から1㎞ほど登ったところに鎮座する。
祭神は大己貴命(大国主命)、少彦名命、菅原道真公。
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この地は古代、凡河内(おうしかわち)氏の居住地と
言われるが、その豪族とは天御影命の子孫という。
この神社の森が「御影の森」と呼ばれる理由がそこだ。
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ところで、
『法隆寺伽藍縁起并流記資材帖』(747年)には、  
摂津国雄伴郡宇治郷に、法隆寺が所有する
宇奈五岳(うなごのおか)があったと記されているが、
そこが現在の会下山(えげやま、神戸市兵庫区会下山町)
付近という(芦屋市の会下山遺跡と同名だが読みが違う)。
また、宇奈五岳の西限が凡河内寺山とも記されている
ことから、凡河内氏は、その会下山付近にも居住して、
 一族の氏寺も建立していたと考えられる。


いっぽう、河内國魂神社の由緒は、少し歯切れが悪い。
〜一説には摂津国造である凡河内忌寸の祖・天御影命
を祀っていたのであろうと言われますが、その間の
消息も長い年月を経た現在、詳しくはわかりません。〜

東から西へ、綱島天満神社、河内國魂神社、会下山。
凡河内氏が居住していたらしい3ヶ所を繋ぐと10㎞以上。
だが、そこで絶大な勢力を張っていたという確証はない。


綱敷天満神社、河内国魂神社にしても、天御影命を
祖とする一族の繁栄を匂わせているものの、共通する
祭神は菅原道真で、象徴の牛像がある(↓河内国魂神社)
こと以外、こちらも詳細がはっきりしないのが悩ましい。
六甲山で、天御影命の「影」が薄いのはなぜなのだろう…。
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by utoutou | 2018-04-06 14:27 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(2)