遥かに斎場御嶽を望む久高島西海岸。漁港の丘。 琉球王朝の最高神女・聞得大君の名を冠した「君泊」 にアカララキという名の御嶽(写真の左部)はある。 これまで何度も訪れたが、小雨まじりの悪天候に 見舞われたのは、おそらく初めてだった。また、 ここで、観光客用か地名表示板を見たのも初めてである。 「大君口(うぷちんぐち)・君泊(ちみんとぅまい)」と。 港を背にして小さな石段を登り御嶽の内部へ。そう広くは ないが、木々に囲まれた丸い空間は明らかに祭祀場だ。 御神体と向き合うと、空間の奥にその常緑低木は見える。 十字に葉が対生するアザカ(長実ボチョウジ)である。 拝所の前で振り向くと、手の届くところにまたアザカ。 「気性の荒い神、神名はなく門番」と島で伝わっていた アカララキだが、魂の転生・再生を司る女神の中の女神。 イザイホーの祭では神女たちの籠る七ツ屋を守護した。 この御嶽で、「十字」の葉の神木に会う意味は大きい。 十字はカジマヤー(風車)、そして四大元素を表すと、 語り部は言う。風と火と水と土。万物の根源的エレメント。 「十字」はカタカムナ族の象徴であり、族名でもあるか。 アカララキについては何度ここに書いたことだろう かと思い、御嶽に座ったまま自らのブログを遡った。 それほど誰にも会うことのない御嶽だが、いつしか 私にとって、久高の歴史時間を旅するメインテーマに。 以下、アカララキ関連のブログ記事。 ☆ミントンの娘とイザイホー('13年8月) ☆久高島で蛇神を祀る('13年9月) ☆アカララキの隠れ女神('14年2月) ☆アラハバキは隠れ女神('14年2月) ☆赤い実の神木('15年1月) ☆十字の霊力('15年1月) ☆つまりアマミキヨ('15年2月) ☆神託の続き('15年2月) ☆天御中主神('16年8月) ☆稚日女命の謎('17年1月) ☆琉球の玉('17年6月) ☆アカル姫の御嶽('17年7月) ☆角のある人の世('17年9月) ☆聖徳太子('17年9月) 雨が止んだ曇り空の下、借りた自転車を走らせる。 五穀発祥伝説の残る、東海岸の聖地・伊敷浜へ。 「十字」を成す葉、葉、葉…を見つめていて、ふと 猿田彦大神を想う。猿田彦は「申田彦」ではないかと…。 猿田彦についても、アザカの関連で書いたことがあった かと改めて調べ、自分でも忘れかけた記事を見つけた。 ☆久高島の聖なる種('15年1月)。 猿田彦が大和神話で、「岐(くなと)の神」や 「八衢(やちまた)の神」とされたのは、申田彦… つまり、十字(沖縄方言でアザカ=アジマー=永遠) の霊力を発揮する猿田彦大神だからではないだろうか。 語り部が、猿田彦大神を久高島の始祖神として 繰り返し挙げていたのが、いまならそれも頷ける…。 その神はおそらくカタカムナ族の祖神でもあるのだ。 #
by utoutou
| 2018-05-14 06:57
| 瀬織津姫
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