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琉球玉依姫〈7〉続「天女伝説」まとめ

天女伝説シリーズには、銘苅子や銘苅家について
の記事も多かった。まず、後半でよく読まれたと
 思われる銘苅子の屋敷跡・銘苅御殿の参拝記より。

(〜から〜の部分が、内容のポイント)
〜 語り部は常々言っていた。
「それほど、銘苅子は大地主だったと伝わっています。
銘苅口説の文句にもあると言いましたね。
国のはじまり銘苅国、川のはじまり銘苅川、と。
国とは真和志のこと、古代から陸地だった地域を指します」

銘苅御殿を出てから、天女は誰かという話になった。
「そろそろ天女は誰か、分かってきましたね?」
「銘苅家の女ですね。
そして、御先世(上古代)からこの地に住んだ海神族
が崇めた女神の霊力を継ぐ日巫女だったのだと思います。
銘苅子と天女は、古代の習俗のまま同族婚だった。
それを隠す必要があり天女として語り継いだのでは」〜
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銘苅子と天女は、古代の習俗のまま同族婚だった
 のでは? という語り部の話を、しみじみ読み直す。
『アミク村の歴史と民俗』にも、同じく同族婚が
あったことを伝えるくだりがある。曰く、天久の
洞窟に玉城から姉弟が天下りして交合を行い、
次第に人々が増え繁昌したという伝承があると。


天女伝説・その1「天久宮」の巻。
「銘苅の翁」は女人(弁財天)と出会い、
社殿を建立した(天久宮由緒)。

天女伝説・その2「銘苅川」の巻。
銘苅子は銘苅川で天女と出会って結婚。
生まれた娘が尚真王夫人となり、
佐司笠按司加那志を生む(『中山世譜』ほか)。

天女伝説・その3「森の川」の巻。
天女と出会って結婚した奥間大親は、
一男一女をもうけるが、その子はやがて察度王になる。
「昇天した天女」とは銘苅家の女である(口伝)〜


〜那覇市教委が発行した遺跡発掘報告書を参照し、
産鉄地だったことを伺わせる遺構・遺物が出た遺跡
に赤の数字を付けた。上から、
1⃣ 銘苅港川遺跡
 2⃣ 安謝東原南遺跡
3⃣ 銘苅原南遺跡

天女伝説の舞台シグルクガーを挟んで南北に
3ヶ所もの「鍛冶関連」の遺構・遺物が出た。〜
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〜 この一帯には「浜下り」という、
いまは途絶えた古来の風習があった。
旧暦3月3日に、女性たちが揃って天久浜に出て、
干潮の海で禊ぎをしてから、海藻を苅る。
銘苅(めかる)の意味は、そこから来ていると思う。

語り部に言うと、やはり同じ意見だった。
「北九州の門司港に、和布刈(めかり)神社
がありますね。銘苅も同じ意味でしょうね。
海の若布(芽)を苅り、スズを苅り、稲を苅る。
銘苅には古代からそんな海人族が住んだと思います」
銘苅家とは、海人族の技術集団だったのか 〜


もしや…大主乙樽(中玉依姫)は、天に昇らず
里帰りした天女その人だったのかもしれない…
とも、思えてくる。「中玉依姫の実家である
尻礼武川(シリンカー )家の先祖は銘苅殿内」
であると『アミク村の歴史と民俗』は伝えている
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# by utoutou | 2024-01-24 11:16 | 最終章 | Trackback | Comments(0)